生かされている
森へ行く。
なんという鳥だろう。聞こえる声は、春のものとは異なる。さて、同じ鳥が違う鳴き方をしているのか、まったく違う鳥か。なんとも教養のない私にはさっぱりわからない。
ただ、春のほうがにぎやかに聞こえるんだよな。秋のほうが少しさびしいかも。
足を地面にしっかりつけてみる。
地面の力強さを感じ取る。土の柔らかさを感じ取る。
地面にはミミズが這い出た跡がある。
鈴虫?ではないのかもしれないが、合唱している虫の音を楽しむ。
目を広げる。
青空に紅葉という組み合わせは幸運だ。自然の造形に感謝の心しかない。
見るものすべて、自然の輪廻の中に生きている。
木が伸び、種子を落とし、芽を出すものもあれば鳥や虫に食べられるものもある。
池にはカモが浮かび、水の中に頭ごと突っ込んでは口をもぐもぐしているように見える。
水面には水草が広がり、風で一方向に流されている。
聞くものすべて、自然の育みを感じる。
風の強弱が木々のざわめきを生んでいる。
池からはねる魚が跳ね、水音を立てる。
鳥と虫の合唱は耳を澄ませるとハーモニーを作り出している。
すべて、Natureという自然と、Naturalという自然。色と音が溢れる自然のなかで、自分の役割を全うするように自然に生きている。
そこに私はいる。
立っている。
文明を持った人間としてそこに立つ私は、「私」だ。
動物である人間としてそこに立つ私は、「自然の造形物、贈り物」だ。
この世に生を受け、今を生きている私(達)は、生きていると同時に生かされている。
地球という自然に。
食物連鎖という自然な流れに。
進化という長い長い歴史の中で。
そう謙虚に考えるのが正しいように、たたずんで感じている。
ツクツクボウシ拝