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ツクツクボウシの独り言

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人類の長い歴史と現代人の短い歴史

二足歩行もできたと言われるアウストラロピテクス。300万年前。
石器などの道具を使い始めたと言われるホモ・ハビリス。200万年前。
アフリカを出て各地に移動していたホモ・エレクトゥス。100万年前。
現在の人類と同種。ホモ・サピエンス。25万年前。

300万年前にその端を認め、25万年前に現在の人類の源となる。
5万年ほど前に石器の使用が広まり、洞窟壁画を描きだした。
1万年前に農耕や牧畜が始まり、定住生活が可能となった。
古代メソポタミアが最初の都市とするならばそれは5000年前。
1769年、ワットが蒸気機関を発明。
始めて発電されたのは、1878年。まだ150年も経たない。
そして自動車が、公共下水道が、テレビが、原子力が、コンピュータが、携帯電話が、インターネットが。
ここ100年ほどの文化技術の進化は恐ろしいほど早い。

長い長い人類の歴史を考えると、農耕定住し、国ができ、文化が生まれ、産業革命が起き、電気を操り、宇宙にまで足を延ばしたのは、ほんの最近の一瞬の出来事。
その一瞬の中で、国家という入れ物ができ、通貨という仮想価値が生まれ、競争が起こり、勝ち負けが大切になり、恐ろしいほどの情報を詰め込まれ、私たちは生きている。

木の上で木の実を食べていた本来の人類とは遠く離れた形態で。

進歩したおかげで私たちは快適で幸せな時代を生きることができている。
寿命も延び、おいしいものを食べ、やわらかな布団で寝て、寒さに凍えることもない。
それを幸せと呼ばずに何を幸せと呼ぶのであろう。

ただ、それがゆえに本来の動物としての人間とは少し以上異なる生き方をしなくてはならない。

そこには、知性と謙虚と成熟が求められているように感じる。

ツクツクボウシ拝

(*)記載の時期・年は諸説あり

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