世界は大きな作り物
世界は大きな作り物。
ある社会学者がいった言葉。
勝手に解釈してみる。
民主主義、資本主義、共産主義、社会主義など、人類が作った政治経済の枠組み。どれもこれも決してうまくいっているわけではない。比較しての多寡があるのみか。そう、誰かが作った作り物。
人には優しくしなくてはならない、人の気持ちに寄り添わなくてはならない、競争して勝たなければならない、勉強していい学校に入らなくてはならない、人に迷惑をかけてはいけない。どれもこれももっともらしい言葉。正しそうに聞こえる。ただ、何が正解なのかなんてわからない。そう、誰かが作った作り物。
そんな作り物の世界に生きている我々。
作り物の中で、命令されて夜遅くまで働き、誰かが作ったルールや規範でがんじがらめになった社会に苦しみ、いわれもなく人からいじめられ、ちょっとしたことで責められ、個人の尊厳を踏みにじられ。またその逆の立場に立ったり。
作り物の中なのに。
作り物の中で、誰かが作った映画を見て楽しんだり、友人と話をして心が安らいだり、読書をして知的興味を満たしたり、仕事で成果を出し興奮したり。またその逆に悲しんだり落ち込んだり。
作り物の中なのに。
作り物の中なのに、現実。あるいは現実であるように思わざるを得ない虚実。
それを「日常」と呼ぶらしい。
ツクツクボウシ拝